若き富樫先生を描いた『先生白書』 味野くにお 

『幽遊白書』『ハンターハンター』の作者、冨樫義博の若き日を元アシスタント味野さんの視点から描いたエッセイ漫画です。

私が手に取ったのは稀代のストーリーテラー、冨樫先生の創作の秘密を一端でも読めないものだろうか、という理由からでした。

アメトーーク!でハンターハンター芸人やっていたのでいい機会だ、と本棚にしまっていたものを手にしました。

 



創作のヒントになることは一、二割くらい?

実は、本棚にしまう前にぱらぱらとめくっていたのでした。

もともとの理由はといえば、創作に繋げたい一心だったのです。しかし、エッセイ漫画ということもあり日常が大半だったので読むのをやめていました。

エッセイ漫画をあまり読んだこともなかったので……。

創作のヒントになりそうなところは三か所ほどでしょうか。私はトーン作業においてはデジタル化していますので、アナログで作業されている方は参考になると思います。

  • こだわるところはこだわる(効果線であっても)
  • 腰を痛めたときは寝ころびながら描く
  • 「ぜひ子どもたちに夢を与えられるような作品を描いてください」by手塚治虫
  • キャラのペン入れをアシスタントに任せるようになったら漫画家として終わり
  • 俺だったらこの中のネタでネーム3本はいけますね
  • 思い描いていた構想が崩れても面白いものを仕上げる
  • 背景まで自分のこだわりがある人は一人で描いた方がいい

他にも何点かありましたが、私が重要だなと思ったのは上記にあげたくらいです。

もともと、エッセイ漫画としてのものなので創作秘話をあげるものではないので当然と言えば当然なのかもしれません。

 

冨樫先生にリアルに会っていた人の視点

私は冨樫先生に対してあまり良い印象を持っていませんでした、これを読むまでは。幽遊白書もハンターハンターも読んだことはありましたが、何分すぐに休載になるわ絵が荒れるわで……。

面白い、と思ってめちゃくちゃ傾倒していただけに絵が荒れたり、コピばっかりじゃん? と感じるのが嫌になってきてしまったのです。

ただ、ストーリーテラーとしての力量は素直に尊敬していました。発想が斬新であったり、豊富な知識量、どこかに本当に存在しているかのようなリアリティ……。

特にハンターハンターを読んでいるときは出てくる小物の背景とか、設定とかをネットで検索したりしていました。

子供をあっさり信じ込ませてしまうようなリアリティがあったのです。

ただ、少年漫画でありながら才能の残酷さを見せつけてくるハードな内容でもありました。笑

今でもカストロに対するヒソカのセリフは忘れられません。うちの妹弟も同じ部分に共感しています。

話はそれましたが、なぜ印象が悪かったかというと一言に冨樫先生がミステリアスな人だったからでしょう。

単行本では意味不明な一言だけ。休載してるのにゲームで遊んでる、という噂。もしくはうつ病で病んでいる、など。ネガティブな情報しか出てきてませんでした。笑

私は子供ながらにプロなら這ってでも描くべき!というお堅い頭をしていたのであまりよく思っていなかったのです。

しかし、このエッセイで冨樫先生の見方は180度変わることになります。

漫画業界、特にひと昔前はアシスタントの扱いはブラック企業そのものだったと聞いています。今でもブラック体質なのは変わりませんが、アシスタントの経験談なんてものを読むとぞっとします。なかでも佐藤秀峰先生と流星光先生の体験談は……。

冨樫先生のところもおそらく、労働時間が10時間は超えていたかと思います。

それでも、味野さんは冨樫先生のアシスタントでやっていたときは楽しい日々だったと追憶されています。

先生白書の冨樫先生はもう見るからにおちゃめで穏やかで優しい雰囲気の先生です。しかも、アシスタントに対して寛容。

変な感想ですが、アシスタントというよりは後輩に手伝ってもらっているような感覚でおられたのではないでしょうか?

なるべくアシスタントに給料もたくさん払えるなら払う、といった感じです。

いったい誰がネットでアシスタントに逃げられた、と書いたのでしょう? 一人で描いたりされているのはこだわりが強いからではないでしょうか。

すぐに休んで、なんて思ったりしてすみません。

エッセイを見て思ったのは、いっぱいいっぱいで週刊連載をされていたのだな、と。絵が荒れていたのは本当に限界だったんだな、と。

漫画というのは本当に過酷なもので、一本根をつめて描き上げると体力ない人は体調を崩します。(私はネームだけでもよく崩してました)

それを週刊なんてほんと人間のやることじゃないな、と思います。やっぱりすごい人でも体力に限りはあるんだなと実感しました。

先生のファンの方はもちろんのこと、あまりよく思っていない人にこそ読んでもらいたいです。当時では口に出せなかったことも描いていらっしゃるようなので。

先生白書

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