「半分、青い」の想像よりリアルという秋風先生に対して思うこと

漫画をちまちまと描いている私に、両親が「半分、青い」を参考になるから是非見るといいといっていたので先週から見始めた。(雑記のカテゴリに入れるときだけ敬語を外すことにしているのはご容赦)

まだ先週と今週含め2回ほどしか見れていないのだが、今日見た話しにはひっかかりがあった。

私が創作の師として仰いでいる漫画家、樹崎聖先生の言葉を借りながら語りたい。

 

想像はリアルに敗ける!?

正人への恋心からスズメは仕事に身が入らず、秋風の原稿にインクを一滴落としてしまう。

結局、その原稿は先輩アシスタントに委ねられることとなり、スズメは秋風に呼び出しを受ける。

あまり恋愛で胸がいっぱいで何もできない、という経験がない私としては全く理解できないスズメの行為だが、秋風はそれをよしとしていた。

「恋をしろスズメ。仕事なんていくらでもできる。経験は大事だ」

アシスタントにそんなこと言えるなんてすごい先生だ…。

もともと五平餅要員で呼ばれたらしいからいなくても割と余裕はあったりするんだろうか。

一応、細かいセリフは覚えてないので全てニュアンスで書いている。

秋風の主張としては

・想像はリアルに敗ける

 

 ・漫画や描いている知識は先輩アシスタントの方が上でも、野山を駆け回っていたスズメには経験で敗ける。

ということらしい。だからこそ、恋愛ができる今、少女漫画に生かす経験ができるからすすんで恋をしなさい、ということだろう。

父からするととてもいい言葉だったらしい。

45分から46分にかけていいことを言っていたから録画しておけばよかったなぁ、といっていた。

……しかし、私としてはこの言葉をあっさりと飲み込むことはできない。

実をいうと、数年前までは私も秋風先生と同じことを考えていた。

 想像はリアルに敗ける、だからたくさん何かを経験しなければ、と。

サッカー、ソフトボール、お箏など面白そうと思うものは片っ端から手をつけたように思う。ある意味、フットワークが軽いといえば軽いのかもしれない。

いろいろかじれてよかったといえばよかったが、もっと腰を据えてやった方がよかったと結論はしている。

 一つの分野を修めたうえで別の分野に行った方が実りがあったのではないか、と。

だいたい、もし想像がリアルに敗けるというのならワンピースや進撃の巨人があんなに流行るものなんだろうか。

あれらは想像がリアルを超えたからこそ大ヒットしたのではないか。

ここで、秋風先生の言葉に戻る。

「想像はリアルに敗ける」

これは、実は創作の初心者であるスズメに一端を理解させる手順としての言葉ではないか、と。

 想像だけのお話なんてどこか遠い世界のようだ

実は、先週の話でスズメの描いたネームが出てくる。

主人公が自分の好きな異性に向かって

「あなたは私の王子様」

といったセリフを最後に放っている。

それを読んだ秋風は叫ぶ。

「なんなんだ、これは! 生きていてこんなだっさいセリフなんて言わないだろう?!」(ニュアンス)

秋風の言うことはごもっともだ。いくら夢見がちな女の子でもせいぜい小学生くらいが限度かもしれない。

つまり、秋風いわくスズメの作品にはまったくのリアリティがない。

このリアリティというのはなかなか、創作においてはやっかいなものである。

 フィクションだとわかって読者は読むのに、リアリティがないと読んでくれないのだ。

樹崎先生はリアリティについてこう語っている。

『キャラクターの内面、感情、人間、設定、世界観、絵柄…ウチと外のどちらかにリアルがない作品は誰も物語に入れません。人はまったくの他人ごとには興味がないのです』 (漫哲 20年メシが食える語りまくりプラン)

漫哲 20年メシが食える語りまくりプラン

漫哲 20年メシが食える語りまくりプラン

 

おそらく、秋風はこのリアリティの部分が欠けている、といったのだ。

朝ドラの15分では入りきらなかった真意

作品創りではリアルよりリアリティが大事、といわれている。

これはどういうことかというと、リアルをそのまま抜き出しても面白くないので現実にあることを踏まえながら面白くデフォルメしよう、ということだ。

リアルな人物画を漫画にするより、目を大きくしたりしてキャラを魅力的に描くのをストーリーでもやる。

「彼らには野山を駆け回る経験をしたことがない」

単純に解釈するなら、秋風は他人が経験していないことを持っていることをストロングポイントとしてみている。

実際、ないよりはある方がいいに決まっている。

しかし、そうすると病気がちで家にこもるしかできない人は経験することが少ないので勝てないことになってしまう。

極端にいえば、職業ものの漫画だって描けないことになるし、年配の漫画家に年少の漫画家は勝てない。

現実にはそんなことはない。

なら、リアルとは何か。経験とは何か。

それは、現実感のある思い。

たとえば、頑張ったのに一歩届かず悔しい思いをした。好きな人ができたら、もうすでにその人は別の人に恋をしていて締め付けられる思いをしたとか。

物質的に経験をするのも引き出しを増やす意味ではいいのかもしれないがそれよりも大事なことがある。

現実に感じた思いを抽象化することこそが創作者に必要なのではないか。

残念ながらまだスズメはただ自分の妄想をリアリティのある作品へと昇華できていない。こうかな、こう書いたらいいかな、という想像でしかない。

秋風が恋をしなさい、といったのはスズメの抽象的な恋愛観をもっと自分で経験して恋について考えろ、というのが本当のところだろう。

正人のことを考えるスズメは恋をする乙女の気持ちがわかるようになる。

自分の感じた生の感情を作品に落とし込めたとき、スズメは創作者として一つ上のステージへといけるのだろう。

 

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